8月も後半になりました。前半は出張続きの毎日をおくっていました。
奈良県産の高級靴下をつくりあげたマネージャーと工場を取材。また、ご当地アイドルに詞を提供した楽曲が、ある港町の盆踊りに採用されたので、その祭りを見学、など。
出張の合間は原稿書きです。ある女性誌で短期連載ながらコラムを執筆することになり、その準備などをしていました。
さて、お盆間近のある週末。富山県の入善(にゅうぜん)という小さな町で、世界大会が催されました。スイカ割りの世界大会です。
入善という町は、日本で一番大きなスイカを生産しています。サイズは40×30センチほど。重さは25キロほど。値段が8000円くらいはする超高級品で、主に贈答用として売られています。この超高級スイカを割ってしまおうというイベントです。
全国各地で、いま、町おこしのイベントが催されていますが、私、いつも思うのです。そこに必然性があるか、厚化粧したものではないか、急ごしらえではないか。そうしたイベントは、すぐにメッキがはがれます。
入善は、スイカ割りの世界大会を催すのに、最も相応しい町です。日本一、いや世界規模でみてもトップ級のサイズのスイカを生産していることが、その根拠。世界中で、日本の入善でしかできないイベントと言っていい。
しかも、スイカ割りって、いまの子どもたちはなかなか体験できませんよね。家庭で一玉単位でスイカを買うことって、そうないですから。
このイベントを開催するまでには、いくつものハードルがあったようです。
「身を削る思いで育てた、この立派なスイカを叩き割るのか」と、生産者の声が挙がりました。これはまあ、もっともなこと。
それに対して、生産者でもある地元JAの組合長は、こう言って説得したそうです。
「スイカは、割らないと、食えんから」
主催した商工会青年部やJAメンバーも、説得のために策を練りました。
「これは、スイカを奉るイベントなんです」
青年部メンバーの大工がスイカの神輿を造り、スイカを奉納する儀式を、世界大会の開会式で行いました。スイカを叩き割る木刀は、やはり青年部メンバーの建具屋さんの手になるもの。
世界大会には、県内のチームだけでなく、アメリカ、ブラジル、中国のチームも参戦。おおきな盛り上がりを見せ、第1回の開催にもかかわらず、その様子は、地元テレビ局のみならず、全国ネットでも放映されたというオマケ付き。
この世界大会、もともとは、私が発案したものです。私が言い出しっぺなもので、責任をもって、特別審判長を務めました。スイカ割りの審判なので、こんな衣装で。