2014年6月2日

自腹でいこう

『すず』という短編映画は、高岡市の伝統産業青年会が制作した作品です。
鋳物や漆器製作といった伝統産業に携わる青年層が作り上げました。

 テーマは「職人の跡継ぎ」。
 著名な映像作家が監督を務めており、イタリア・フィレンツェで催された映画祭にも出品され、好評を得ています。YouTubeにもアップされていて、その再生回数はすでに1万2000回を超えました。地域活性化や地場産業アピールをかかげた短編映画の再生数としては、立派な数字でしょう。

 この『すず』、私が評価する点はもうひとつあります。伝統産業青年会は、映画の制作にあたって、国や自治体からの補助金を受け取っていないと聞きました。県外での「鋳物体験イベント」で稼いだお金を、制作費に充てたといいます。

 これは重要なポイントです。こうした“地ムービー”、いま各地で作られていますが、補助金を制作費に充てた場合、作品の上映方法や活用方法に、どうしても、あれやこれやと制限が生まれることもあるらしいのです。

 完成した『すず』を海外の映画祭に出品したり、YouTubeにアップしたりと、自由に活用できているのは、彼らが自腹で制作したことと無関係ではないでしょう。その結果、高岡の地場産業を、自分たちの思うかたちで国内外にアピールできたのです。ちなみに、総製作費は「軽自動車の新車1台分くらい」というから、費用対効果はかなり大きいといえるでしょうね。

https://www.youtube.com/watch?v=dAC8E7L8Fug